ジェネリック医薬品がもたらす経済効果は?

2014年、日本の総医療費はついに40兆円の大台を超えました。 ジェネリック医薬品の普及はもともと、医療費の削減を目的にしたものだったはずですが、本当に削減の効果は出ているのでしょうか。 ジェネリックによる経済効果は出ているのか?

政府は、2020年までに何としてもジェネリック医薬品の普及率を80%に載せたいという方針を打ち立て、やや強引とも言われるほど強力な普及推進キャンペーンを行っています。

この背景には財政の削減という大きな命題があります。 2007年の財務省の財政制度等審議会財政構造改革部会の資料に、ジェネリックの普及率が100%となれば、1.3兆円の削減効果が期待できる、という記述があり、この試算に基づいてジェネリック薬の推進が勧められました。

しかしジェネリック推進後、政府から成果報告は一切出ていません。 このため、現状で大きな削減成果は出ていないものと考えられています。

そもそもこの試算自体が正確ではない、という意見もあります。 総合開発研究機構(NIRA)から出された算定では、ジェネリック普及率100%の歳出削減効果は1000億円から3000億円程度と、大きく開きがある数値となっていますが、高い方でも政府から出されたものよりも1兆円少ない試算となっています。

大きな削減効果が見られない原因は、当初の試算に調剤薬局の技術料部分、調剤技術料と薬学管理料が含まれていないせいではないか、という指摘もされています。 現在、強力なジェネリック医薬品推進のため、一定数のジェネリック医薬品を調剤した薬局では、調剤技術料を加算することが可能となっています。

このため、ジェネリック医薬品を勧めれば勧めるほど、薬局の儲けは増えますが、つまりは医療費全体も膨らむということになるのです。 そして、もともとの薬価が低い薬の場合、ジェネリックに変更して下がる薬代よりも、薬局の技術料加算の方が上回り、かえってジェネリックにした方が高くつく、ということも起こりうるのです。

ほとんどの薬局では、ジェネリックに変更して患者の負担が増えるような場合は事前に説明し、先発薬を出すようにするようですが、なかには利益優先でジェネリックを勧める薬局もあるようです。

なお、政府の広告では、薬代が半額になるような印象を与えているため、患者側から「思ったよりも安くなっていない」といった不満も多く上がりはじめているようです。 日本の医療に大きな影響力をもつ日本医師会の羽鳥裕常任理事も、ジェネリック薬が増えることで医療費が節約できるかは不明、と答えており、 医療費削減効果は政府が期待するほど上がらないのではないか、という意見は少なくないようです。

ただし、ジェネリック医薬品が普及したことで、薬局や患者が複数の選択肢の中から薬を選択するシステムが一般的になったことは、大きな成果と言われています。

複数の薬の中から自発的に選択するためには、薬についての知識やコスト感覚も必要となりますが、これらのことを繰り返すことによって、不当に高い薬などが自然に淘汰されるのではないかという見方もあるようで、ジェネリック医薬品のみの削減効果が例え薄くても、医療費全体は少しずつ下がっていくのではないかと期待されているようです。