新薬ができるまで~製薬会社の厳しい戦い

ジェネリック医薬品が安いのは、新薬と比べて開発費用を大きく抑えることができるからです。それでは、普通の新薬ができるまでには一体どれくらいの期間とお金がかかるのかについて見ていきましょう。


薬ができるまでの遠い道のり

薬の開発は、まず原料となる候補物質を集めることから始まります。自然界にある物質や、既に存在する化合物などをスクリーニングし、作りたい薬の原料になるかどうかを見極めるのです。 しかしその途中で多くの候補物質が脱落してしまいます。集めた候補物質の中から、将来的に新薬になれるものは、わずか3万分の1ともいわれるほどです。

そうして何とか薬としての形が出来上がった後は、長い臨床試験(治験)に入ります。治験は「第1相~第3相」の3ステップに分けられ、治験に協力する人の安全に最大限に配慮しながら慎重におこなわれます。 すべての治験を終えるまでには、5~7年ほどかかるとされています。

無事に治験が終わり、薬の安全性と有効性が確認されたら、今度はそのデータを持って国に申請をおこないます。日本では、この段階にかかる年数が長いことが問題視されてきましたが、最近では平均して約1年といわれています。

こうして、新薬は10年ほどかけてようやく誕生します。この間にかかる費用は、少なく見積もっても200~300億円で、中には1,000億円を超える場合も少なくありません。


薬の利益は、特許が切れるまでの間が勝負!?

このように見てみると、1つの新薬を作るためにいかに長い年月と莫大な費用がかかるかが分かると思います。しかし開発した薬が画期的なものであればあるほど、発売後の収益は非常に大きく、開発にかかった費用を十分に回収することができるのも薬の特徴です。 そして再び新しい薬の開発に着手する、という流れになります。

ですから新薬が発売されてしばらくの間は、それを作った製薬会社に専売特許が認められています。製薬会社としては、少しでも特許期間を延ばしたほうが儲けにつながりますので、薬に新たな添加剤や効能を加えたりして、特許の延長申請をおこないます。 しかし平均して発売後15年ほどで特許は満了を迎え、後発品メーカーがジェネリック品を製造・販売することになります。

医療費財政がひっ迫している国としては、特許の切れた薬にはどんどんジェネリックを作ってもらい、そちらにシフトさせたいという狙いがあります。ですから既にジェネリックが出ているにも関わらず、なかなか切り替えが進まない薬に関しては厳しい姿勢を見せており、新薬の価格も引き下げて製薬会社に儲けが出ない仕組みにしています。 こうすることで「そろそろ次の新薬で儲けてくださいよ」と言っているのです。

このように、製薬会社は新薬の開発から特許が切れるまでの間に利益を上げ、その後ジェネリックが出てからは次なる新薬を打ち出していく、という流れを求められています。しかしそのサイクルを安定して続けられるのは、世界の中でも大手製薬会社のみであり、多くの会社は吸収合併しながら何とか生き残りをかけている状態だといわれています。