漢方薬にはなぜジェネリックがないのか?

私たちが病院で処方してもらう薬の多くが、西洋医学の薬ですが、中には漢方薬もあります。漢方薬は西洋薬と異なり、複数の生薬が組み合わさって作られていますので、ジェネリック医薬品というものは基本的に存在しません。


漢方薬のブレンド比率は、商品によって異なる

私たちが普段よく使っている西洋医学の薬には、「有効成分(主成分)」というものが存在します。たとえば消炎鎮痛剤の「ロキソニン」ならロキソプロフェンナトリウム、H2ブロッカーの胃腸薬「ガスター」ならファモチジンという成分がそれに当たります。

このように西洋の薬は、基本的に1つの有効成分のみで作られたものです。他の成分は主に添加剤で、薬の形や味を整えたり、品質を安定させたりしています。

一方、漢方薬は複数の生薬(植物性の物質)を2つ以上組み合わせて作られています。1種類だけなら単に生薬であり、それらをいくつか複合することで漢方薬になるのです。 たとえば風邪薬として有名な「葛根湯」という漢方には、葛根のほか、麻黄や桂枝、芍薬、甘草、生姜、大棗(たいそう)といった生薬が組み合わされています。

しかもその配合比率が、メーカーや商品によって変わるのも漢方の特徴です。そのブレンド比率こそが漢方のキモであり、厳密には患者さん1人ひとりの体質(証)に合わせて、適宜処方することが基本となっています。

ですから有効成分が分かりやすく1種類である西洋薬と異なり、漢方薬にジェネリック医薬品を作ることは非常に難しいのです。基本的には存在しないと言ってもいいでしょう。


症状に応じて、漢方薬と西洋薬を使い分けよう

上記のように、漢方薬は患者さんの体質に合わせた処方が重視されます。ですから漢方治療を専門にしている医療機関や、漢方薬局では、まずカウンセリングがおこなわれることが一般的です。それに応じてもっとも適切と思われる漢方薬が処方されますので、たとえば同じような症状がある患者さんでも、処方される薬が違うということも少なくありません。

一方、西洋医学の場合は今出ている症状を効果的に改善することが第一目標となります。たとえば血圧が高いならそれを下げる薬を、痛みがあるならそれを取り除く薬を使うことが基本です。また特にアレルギーなどがない限り、体質によって処方が大きく変わるといったこともありません。 これが「西洋医学は対症療法に過ぎない」といわれるゆえんですが、実際に今出ている症状に苦しんでいる患者さんの場合は、積極的に受けるべき治療といえるでしょう。

漢方は、そうではない状態の患者さんに向いています。たとえば検査を受けても原因がはっきりとしない不調がある、全体的に調子が悪い、といった状態です。よく「自律神経の乱れ」という表現が使われますが、漢方はまさにそうした症状に最適とされています。

ちなみに漢方薬と聞くと、「植物由来で体に優しいおだやかな薬」というイメージを持つ人が多いのですが、薬である以上はやはり副作用もあります。しっかりと用法や用量を守って使うことが大切です。