日本のジェネリック普及率が低い理由

日本は先進国の中でも、ジェネリック医薬品の普及に関して大きな遅れをとっています。欧米各国で6割以上のシェアとなっているのに対し、日本ではまだ2割程度です。
理由としては主に、医療業界の中でもジェネリックに否定的な流れがあることと、さまざまな制度によって先発薬との差額が少ないことが挙げられます。


安全性の問題

ジェネリック医薬品は、昔「ゾロ品」と呼ばれていました。先発薬の特許が切れた後、多くの後発薬がゾロゾロと出てくることからつけられた名前で、あまり好意的に受け入れられていなかったことがうかがえます。

今ではジェネリック品に対する考え方もだいぶ変わってきましたが、一部の医療従事者たちの間では「ゾロ品」のイメージがまだ抜け切れていないのも、日本のジェネリック普及率が低い一因ではないかと考えられています。

先発薬と同等の効果があることを確認する「生物学的同等性試験」はおこなわれているものの、ジェネリック医薬品は先発薬と比べ、臨床試験や毒性検査などの多くをカットできるのは事実です。 また製造方法や添加物なども先発薬とまったく同じではないことから、品質の面で不安が残るとの考えがまだまだ根強く残っています。

そのような医師たちがジェネリック品の処方に前向きでないことが、日本におけるシェアの低さの大きな要因となっているようです。


ジェネリック品へのインセンティブの低さ

日本ならではの背景の1つに、「先発薬と後発薬の間で、大きな価格差が生じていない」というものがあります。

日本では国民皆保険制度が確立されており、保険適用の医療であればすべて3割負担(人によっては1割負担)で受けることができます。医薬品も同様ですので、薬局で処方された薬に対して「高い!」と感じることは少ないのではないでしょうか?

これがアメリカになると、民間の医療保険に加入していたとしても、医療費は日本よりだいぶ高くなります。そもそも医師から薬を処方されることは「よほどのこと」であり、多くの国民はOTC医薬品(ドラッグストアなどで処方箋なしで買える市販薬)を利用するのです。 やむを得ず医師の処方を受ける時も、なるべく安いジェネリック医薬品のほうが圧倒的に助かりますし、保険会社もそうするように勧めています。

もう1つ、日本では薬価が頻繁に改定されるのも特徴です。薬価とは、国が薬に対してつける「公定価格」のことで、2年に1度見直しがおこなわれます。新薬として登場した時には高い薬価のついていたものでも、年数が経つごとに引き下げられるのが通常です。

そうしてジェネリック医薬品が出てくるころには、薬によってはあまり差がないほどに価格が下がっているものも見られます。薬の価値が高ければ高いほど、つまり画期的な薬であればあるほど薬価は高いまま維持されるため、ジェネリック品との差額が大きくなるという仕組みです。

しかし日本では継続的に薬を必要とする人でない限り、あまり薬の値段について敏感ではないのが現状かもしれません。