注射剤や抗がん剤における試験とは?

注射や点滴に使う薬や、副作用の強い抗がん剤のジェネリックでは特に、人体への安全性を考慮したさまざまな工夫がおこなわれています。抗がん剤のジェネリックに否定的な医師もまだまだ多いのが現状ですが、今後さらに現場で活用される機会は増えていくでしょう。


注射薬の場合

注射薬は人体にダイレクトに投与されるものですので、ある意味では内服薬よりも厳しい基準が求められます。たとえば有効成分のほかに含まれる添加物については、皮下注射、筋肉注射、静脈注射など、それぞれ目的とする注射剤において過去に使用前例のあるもののみを使えることに決められています。

さらに、その添加物と有効成分との安定性が調べられます。安定性試験では、さまざまな条件のもとで、溶け出さないものが存在しないかどうかなどを入念にチェックします。添加物のほか、成分を安定させるための「安定化剤」についても、同様に厳しい検査で試験がおこなわれています。

こういった試験の結果、最適な添加物や安定化剤が選択されていますので、注射剤のジェネリック品も安心して活用できるのです。


抗がん剤の場合

抗がん剤はその副作用の強さから、健康な人を対象とした生物学的同等性試験は実施できません。その場合は、ガイドラインに「薬の適応患者で試験をおこなうこと」と規定されていますので、抗がん剤ならがんの治療をしている患者さんが治験に参加することになります。さらに安全性の観点から、同じ患者さんに複数回の投与をおこなうことはできず、「単回投与」となります。

そのため、他の薬と比べると試験はやや大変になりますが、きちんと先発薬との同等性が確認されてから国の承認を受けているのです。 抗がん剤のジェネリックには否定的な医師もまだまだ多いのですが、世界中でさまざまな後発品がぞくぞくと登場しています。特に医薬品不足が深刻化している抗がん剤では、ジェネリックを販売することで、誰もが同じ有効成分の薬を手に入れられるようにしています。 たとえばアメリカでは、ドキシルという抗がん剤が不足しがちでしたが、2013年にジェネリック品が承認されたことで改善が期待されています。日本でも多くの後発医薬品メーカーが、抗がん剤の開発に力を入れています。

抗がん剤はどうしても高額になりがちです。1回の投与につき数万円がかかることもありますので、保険が効くとはいえ、患者さんの持ち出しもやはり多めに発生します。 今後さらに多くの臨床データがそろうことで、抗がん剤のジェネリック品の安全性が認知されていくことが望まれます。